作成者 :稲田 美
みなさん、こんにちは。JAPAN ASIA CONSULTANTS の稲田です。
突然ですが、みなさんは普段どんなSNSを使っていますか?Instagram、TikTok、X(旧Twitter)など、いまやSNSは生活に欠かせない存在になっていますよね。インドネシアで特に人気なのは、TikTok(約1億2,680万人が登録)、WhatsApp(約1億1,200万人が登録)、Instagram(1億90万人が登録)、Facebook(2,775万人が登録)、そしてX(2,469万人が登録)[1]で、これらが日常的に利用されています。その中でよく耳にするのが「映え」という言葉です。
インドネシア在住の方であれば、すでにご存じかもしれませんが、インドネシア人は「映え」にとても敏感です。私の友人たちも例に漏れず、食事に行けば食事が冷めるまで必ず写真撮影が行われ、遊びに出かければ写真撮影大会に。しかもポーズが驚くほど自然でモデル並みに上手なのです。事前にポーズや角度を研究している人までいて、毎回カルチャーショックを受けています(笑)。食べ物や風景、部屋の雰囲気まで徹底して「映え」を追求するその姿勢は、ある意味プロフェッショナルだと感じます。
ただ一方で、SNSに力を入れすぎて「ちょっと疲れるな」と感じることはありませんか?いわゆる「SNS疲れ」です。完璧な写真や映える瞬間を常に探すうちに、本来楽しむはずの時間がプレッシャーになってしまうことも少なくありません。
そんな中、日本でも話題になった新しいSNSアプリがあります。
フランス発の「BeReal(ビーリアル)」です。このアプリは毎日ランダムな時間に通知が届き、2分以内に撮った写真をそのまま投稿するというシンプルな仕組み。自撮りと正面カメラが同時に作動するため、自分の姿とその場の状況が一度に記録されます。しかもフィルターや加工は一切なし。まさに「リアルな瞬間」をシェアすることに特化しています。
日本では一時的なブームが落ち着きましたが、Datareportalの統計レポートによれば2024年1月時点で BeReal のユーザー数は1,600万人。LINE(9,600万人)、X(7,340万人)、Instagram(5,545万人)、TikTok(2,605万人)[2]と比べるとまだ少ないですが、確実に存在感を示しています。
私も使ってみて驚いたのは、芸能人やアーティストだけでなく、企業やブランドまでもがこのアプリを広報活動に活用していることです。従来のSNSでは、加工や編集を駆使した「魅せる」投稿が中心でした。しかし、BeRealでは演出なしの日常が切り取られるため、会社の雰囲気や社員の働く姿が、より自然に伝わります。
さらに、日常の投稿の中で自社製品やサービスを自然に紹介できる点も注目されています。社員が普段の業務で製品を扱う様子や、日常生活の中で自社サービスを使うシーンは、過度な広告感を与えず、それでいてブランドの信頼感を高めます。
ForbesJapan の記事によれば、日本のZ世代にBeReal と相性が良いとされる業界は「コスメ・美容」、「ファッション・アパレル」、「食品・飲料」[3]という調査結果もあり、リアルさを大切にする姿勢が支持されているようです。
特に日本ではZ世代(1990年代後半から2012年頃に生まれた世代)を中心に人気が高まっていましたが、写真文化が根付いているインドネシアでも今後注目を集めるのではないでしょうか。「映え」を追い求めるのも楽しいですが、リアルな日常の一瞬を切り取ることが、これからのトレンドになるかもしれません。インドネシアでも、BeReal が新しいSNSとして広がっていくかどうか、今後の動きに注目していきたいですね。
[1] https://datareportal.com/reports/digital-2025-indonesia
[2] https://datareportal.com/reports/digital-2024japan?rq=digital%20japan%202024
[3] https://forbesjapan.com/articles/detail/79576/page2