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第23回  JAC’Sブログ
「世界一“歩かない”国?」―インドネシアのフィットネス文化を考えるー

2025. 11. 19 | JAC Blog

作成者  :小川 翔司

皆さま、こんにちは。

当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

Japan Asia Consultantsの小川です。

「世界一歩かない(怠惰な?)国」

少々不名誉でありながら、どこかコミカルな称号を与えられたのが、ここインドネシアです。アメリカのスタンフォード大学が2017年に実施した調査によると、インドネシア人の1日あたりの平均歩数は3,513歩で、調査対象46ヶ国の中で最も少なかったそうです。ちなみに、日本人の平均は6,010歩。インドネシア人はそのおよそ半分しか歩いていない計算になります。スマートフォンのデータを基にしたサンプル調査ではありますが、個人的には思わず納得してしまう結果でした。皆さまはどのように感じられるでしょうか。

一方で、近年は健康志向の高まりとともに、インドネシアでも運動習慣が少しずつ広がっています。以前から一定の人気があったジム通いに加え、コロナ禍をきっかけにジョギングやサイクリングがブームになり、最近ではパデル(第14回のブログで紹介)も注目を集めています。

今回は、そんなインドネシアのフィットネス文化について、私自身のジム利用の経験も交えながら考えてみたいと思います。

・インドネシア人は本当に歩かない?

実際に暮らしていると、「確かに歩かないな」と感じる場面は多くあります。道路事情などの外的要因ももちろんありますが、それを差し引いても、歩くことをあまり好まない傾向は明確です。駅やバス停から10分ほどの距離でも、多くの人がバイクタクシーを利用します。目的地のすぐ近くで渋滞していて、「歩いた方が早そうだな」という状況でも、歩こうとはせず車内で待つ人が多い印象です。また、オフィスビルやショッピングモールでも、わずか1階分の移動でもエレベーターを使う人が少なくありません。もちろん私の主観も含まれますが、「思い当たる」と感じる方も多いのではないでしょうか。

・広がるジャカルタの運動習慣

とはいえ、「歩かない=運動しない」わけではないとも感じます。ジャカルタでは、毎週日曜日の午前中に「カーフリーデー(CFD)」と呼ばれる取り組みがあり、中心部のスディルマン~タムリン通りが歩行者天国になります。老若男女問わず多くの人々が参加し、思い思いにジョギングやウォーキング、サイクリングなどを楽しんでいます。

特にジョギングやサイクリングは、コロナ禍の活動制限で一時的に街が閑散としたことをきっかけに始める人が増え、大きなブームになりました。普段は渋滞がひどいことで有名なジャカルタですが、当時の静けさが「走る」や「漕ぐ」文化の芽を育てたとも言えるでしょう。

こうした屋外での運動習慣の広がりは、もともと一定の人気を集めていたジム通いにも好影響を与え、より幅広い層へとフィットネス文化が広がるきっかけになったと言えるでしょうか。

・ジム文化と主要チェーンの紹介

インドネシアには、24時間営業のものを含む多くのジムがあります。利用者は若年層が中心で、日本のようにシニア層の姿はまだ少数です。女性の利用者も比較的多く、中にはヒジャブをつけたまま汗を流す女性の姿も珍しくありません。まだジム文化が発展途上の面もあり、マナーがやや緩い場面もよく見受けられます。例えば、休憩や談笑の時間が長くなり器具を占有する人、トレーニング姿を撮影するためベンチをスマートフォンの置き場として利用している人などを見かけることもあります。

ここで、主要なフィットネスチェーンをいくつかご紹介します。インドネシアにお住まいの方であれば、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。なお、月額利用料については諸条件により異なりますので、あくまで目安としてご覧ください。

・Celebrity Fitness

インドネシア発の最大手チェーン。モール内に多く出店しており、若年層・女性の利用者が目立ちます。照明や音楽など演出が凝っており、雰囲気重視の利用者が多い印象です。月額:375,000ルピア(約3,700円)~

・Fitness First

世界的に展開するチェーンで、Celebrity Fitnessと同じEvolution Wellnessグループ傘下。こちらは高品質な設備を売りにしているようで、本格トレーニング派が多い印象です。月額:399,000ルピア(約3,900円)~

・Anytime Fitness

日本でもお馴染みの24時間ジム。インドネシア進出は2019年と比較的新しいですが、24時間営業の先駆け的存在です。月額:475,000ルピア(約4,700円)~

・FIT HUB

新興ながら急成長中のローカルチェーン。高品質な設備を手頃な価格で提供し、利用者数を伸ばしています。月額:249,000ルピア(約2,400円)~

・市場規模と今後の展望

このようにフィットネス文化が広がるなかで、気になるのが市場規模です。フィットネス単体だと定義が若干不明確で統計が整備されていないため、より広義のスポーツ産業全体のデータを参考にします。

インドネシア青年・スポーツ省は、2024年のスポーツ産業の経済価値が39.45兆ルピア(約3,900億円)に達したと発表しています。これは2023年の37.23兆ルピア(約3,700億円)から5.8%増加しており、国内総生産(GDP)の0.19%に相当するそうです。比較として、少し古いデータですが、日本におけるスポーツ産業は9.5兆円(名目GDP比約1.7%)にのぼります。インドネシアの市場はまだ成長期から拡大期にあり、若年層人口の多さや健康志向の高まりを踏まえると、今後もなお大きな成長余地があると言えるでしょう。

冒頭で触れた「世界一歩かない国」というイメージも、今や少しずつ変わりつつあります。経済成長とともに、ライフスタイルの多様化や健康志向の高まりが進み、フィットネスやスポーツを通じた新たなビジネスの芽が生まれています。

弊社では、インドネシアでの新規会社設立に関するご相談や各種手続きのサポートを承っております。フィットネス関連をはじめ、現地でのビジネス展開にご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参照:

https://cs.stanford.edu/people/jure/pubs/activity-inequality-nature17.pdf

https://img-deputi2.kemenpora.go.id/files/document_file/2025/01/02/44/6736laporan-indeks-pembangunan-olahraga-2024.pdf

https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/11f67b7325540768b88044e5978767b9.pdf