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第27回 JAC’Sブログ
ジャカルタにおける大気汚染と健康リスク―急病対応の実例

2026. 04. 9 | JAC Blog

作成者  :江原早紀

いつも大変お世話になっております。JACの江原でございます。

インドネシアでの生活において、不安の一つとして挙げられるのが、病気や緊急時の医療対応ではないでしょうか。特に駐在員の方や帯同されているご家族にとっては、言語や医療体制の違いもあり、不安を感じやすいテーマかと存じます。個人的な話で恐縮ですが、先日、娘が熱性けいれんを発症し、緊急外来を受診し、5日ほど入院することとなりました。原因は特定できていないものの、ジャカルタの空気汚染が一因である可能性があるとの説明を受けました。インドネシアでの生活は8年が経ちますが、このような不測の事態に直面すると、やはり慌ててしまうものです。今回は、私が実際に経験した「緊急外来から入院、退院までの流れ」について、実体験をもとにご紹介させていただきます。

―午前5時
娘が高熱でけいれんを発症し、事前にかかりつけ医から教えていただいていた通り、けいれんの様子をスマートフォンで動画撮影しました。

―午前5時30分
けいれんが落ち着いてから、自宅近くの総合病院の緊急外来(IGD)へ向かいました。母の勘とでもいうのでしょうか、入院になる可能性を考え、着替えやおむつ等を持参しました。

―午前6時
体調の悪い娘を抱っこしたまま、受付→保険確認→病状確認が約15分程度で行われ、その後、当直医による診療を経て、6時頃には点滴が開始され、解熱剤等の投与を受けることができました。

―午前7時
入院が決まったものの、PCR検査を受けてからでないと入院棟に入れないとのことで、検査結果および病室の確定まで約2時間待機しました。この待ち時間は長く、体力的にも非常に負担の大きい時間でした。

―午前8時
入院部屋に移動し、療養が開始されました。

当日中にPDR検査と血液検査、翌日にはレントゲンおよび便検査が実施され、3種類の内服薬と2種類の点滴が数時間ごとに投与されました。
就寝中であっても、夜間や早朝を問わず規則通りに看護師の方が対応される療養生活であり、時間に比較的柔軟な印象のあるインドネシアにおいても、医療の現場では厳格に管理されている点が印象的でした。

また、もう一つ驚いたのは、1歳になったばかりの娘への食事です。離乳食完了期の赤ちゃん向けとは思えないほど量が多く、味付けもかなりしっかりしており、大人用に近い内容ではないかと感じるほどでした。

〈朝食の例〉

 

 

 

 

〈昼食の例〉

 

 

 

 

諸々の検査結果からは深刻な原因は見つからず、何らかのウイルス感染によるものと考えられるとのことでした。そのため、内服薬および点滴を継続し、3日目以降は理学療法も取り入れられました。

具体的には、約10分間の吸入(ネブライザー)を行った後、背中に赤外線を約10分当て、その後カッピングのようなマッサージを行うことで、咳や痰を出しやすくする治療が実施されました。これらは午前・午後それぞれ1回ずつ、1日2回の頻度で行われました。

5日後には無事退院となりましたが、退院後も自宅での投薬および吸入の継続が必要との指示があり、退院後すぐに近隣の薬局でOMRON製の吸入器を購入しました。

医師の説明によると、近年のジャカルタにおける大気汚染の影響により、特に子どもの呼吸器系疾患が増加しており、自宅等で吸入治療を行うケースも増えているとのことでした。吸入には、医師が処方した小瓶入りの薬剤を注射器で吸い上げて調合する必要がありますが、医師によっては数日分をまとめて処方してくれる場合もあります。そのため、予防的な対応として、咳が出始めた段階で吸入を行うご家庭も多いようです。(※過度な吸入は肺に負担がかかる可能性があるため、必ず担当医とご相談の上、ご判断ください。)

実際に調べてみると、ジャカルタでは大気汚染の深刻化が多方面で指摘されています。特にPM2.5(微小粒子状物質)の年間平均濃度は約30~45μg/m³とされ、世界保健機関(WHO)の基準値(年平均5μg/m³)の約6~9倍に相当します。[1]こうした大気環境は、気管支炎や喘息、肺炎などの呼吸器系疾患のリスクを高める要因とされており、特に子どもにおいては急性呼吸器感染症(ISPA)の増加との関連が指摘されています[2]。インドネシア保健省のデータでも、ISPAは子どもの主要な受診理由の一つとされており、都市部ではその発症割合が高い傾向にあります。また、日によってはPM2.5濃度が100μg/m³を超える日も観測されており、短期的にも健康への影響が懸念されるレベルに達することがあります[3]。このような状況を背景に、現地医療機関では呼吸器系の症状を訴える患者が増加しており、自宅での吸入治療などの対応が一般化しつつあります。

また、熱性けいれんについても、発作を予防する座薬があり、かかりつけ医からは「お守りとして持っておくように」とのことで、複数処方されました。急病そのものを防ぐことは難しいかもしれませんが、今回のように吸入器やけいれん予防薬を備えておくことで、いざという時の安心感は大きく変わると感じました。

今回、改めてインドネシアでの生活においては、万が一に備えて信頼できる医療機関や連絡先を事前に確認しておくことが重要と痛感いたしました。本記事が、インドネシアで生活される皆様のリスク管理の一助となれば幸いです。

[1] https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/ambient-(outdoor)-air-quality-and-health  (2026/03/30閲覧)

[2] https://www.iqair.com/indonesia/jakarta  (2026/03/30閲覧)

[3] https://www.worldbank.org/en/country/indonesia/publication/indonesia-air-quality  (2026/03/30閲覧)